カテゴリ:文学・語学Literature( 13 )

 

フランス人は10着しか服を持たない Lessons from Madame Chic

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もう、お読みになった方も多いかもしれません。パリのソルボンヌ大学に留学した、ロサンゼルス生まれのアメリカ人女子学生のフランス体験記。
とても面白かったです。

著者のジェニファ・L・スコットがホームステイしたのは、パリの裕福な フランス人貴族の末裔の家族が住む、アパルトマン・・・
フォーマルで格調高いダイニングルームで天井まで届く大きな窓やアンティ―クの貴重な調度品に囲まれて、味わうフルコースのディナー。
それは、この家の主婦、マダム・シックが腕によりをかけた、お手製のお料理でした。
平日の水曜日の夜なのに、家族そろっておしゃれをして、いちばん上等な食器で、優雅に夕食を楽しむホストファミリー。

素晴らしく、エレガントな、マダム・シックとムッシュー・シックですが、一緒に暮らすうちにジェニファは、彼らが、ほんの少しの、上等な洋服を、上手に組み合わせて着こなしていることに、気がつきます。

アメリカでは、一週間に、2度、3度同じ洋服を着ることは、とても恥ずかしいことだったのに、フランスの人たちは、同じ洋服を何度も着ている…フランス人は10着ぐらいしか服を持っていない!

彼女の驚きは、それだけでなく、ホストファミリーのだれもが、テレビをあまり見ないこと、間食をしないで、3度の食事を大切に、豊かに摂ることなど、「本当に満たされた暮らし」がどんなものかと気づかされていくのです。

半年後、アメリカに帰った彼女は、今まで持っていたたくさんの洋服を整理し、夏、冬10着ずつのワードロープで暮らし始めます…すると、なんという心地よさ…お気に入りの洋服だけが、クローゼットに並んで、コーデイネートもずっとしやすい・・・

マダム・シックから学んだていねいな生活を彼女は、実践しようと努力するのです。
裕福な、マダムでしたが、彼女は、家事一切を自分の手で完璧に行い、パートタイムの仕事もしていたというのです。

おしゃれで、優雅なフランスの人たちの、暮らしの秘訣を教えてくれる、この本。

自分の生活を振り返ってみると…整理しきれない洋服の数々…あります・・・あります・・・四季の変化が大きい日本では、10着に絞るのは難しそうですが、良質なものを、数少なく厳選して持つことの大切さ、普段にも、きちんとした服装をして、上手に着まわすことの大切さがわかりました。

ジェニファの素直な感動の伝わる、楽しくてためになる一冊でした。

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by fiorimusicali | 2015-01-23 23:28 | 文学・語学Literature | Comments(0)  

ショパンそしてラフマニノフ…  Chopin and Rachmaninov・・・

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中山七里さんのミステリー「いつまでもショパン」と「おやすみラフマニノフ」を読みました。

これは、先日読んだ「さよならドビュッシー」が本当に面白かったので、ピアニスト岬洋介が活躍する同じシリーズを読んでみたくなったからです。

「いつまでもショパン」は、かの有名なショパンコンクールが舞台。
コンクール開催国のポーランドの大統領が乗った政府専用機が何者かによって、爆破され墜落。
大統領夫妻以下、政府関係者と軍幹部ら96人が全員死亡するところから、物語が始まります。

コンクールはそのような緊張状態の中開かれるのですが、日本からは、岬洋介そして盲目のピアニスト榊場隆平(リュウヘイ・サカキバ)も参加して、素晴らしい演奏を披露します。

しかし、コンクールの会場で、殺人事件が発生・・・

筆者は、コンクールの課題曲である、ショパンの名作を次々に、描写していきます。
学生時代、ショパンを研究課題にしていた私にとっては、そのどれもが、時間をかけて練習に取り組み、その美しさに感動した曲ばかりです。

行を追うごとに、頭の中に曲が鳴り響きます。

コンクールの熱狂と次々起こる奇怪な事件…一度読み始める目を離せなくなるおもしろさです。

今回も岬洋介が鋭い推理で犯人をつきとめます。

ショパンの曲を弾いたことのない方には、楽曲の説明が少しめんどくさく感じられるかもしれませんが、その場合ぜひ、ショパンのCDをかけながら、これをお読みになるといいかもしれません。


「おやすみラフマニノフ」は、名古屋の音楽大学が舞台になっています。
こちらは、ローカルな街の様子がいろいろ出てきて、名古屋生まれの私には、とても楽しく感じられます。

岬洋介が講師を務める音楽大学では、学長 柘植彰良(つげ あきら)が演奏するラフマニノフのピアノ協奏曲をプログラムにした定期演奏会が計画されます。

柘植は、稀代のラフマニノフ弾きとして名高いのですが、もう70歳を超す老巨匠です。
オーケストラは、学生たちからオ―ディションで選ばれた者たちから結成され、大学の音楽博物館に所蔵されている、ストラディバリウスをはじめとする、名器が演奏者に貸し出されることになっています。

ところが、ある日時価2億円のチェロ、ストラディバリウスが完全密室で保管されているのにもかかわらず、盗まれてしまいます・・・

ヴァイオリン専攻の学生のボク、城戸晶(きど あきら)を主人公に語られる現代の音大生の生態・・・

作者中山七里さんは、音大出身でも、音楽家でもないのですが、実に生き生きとオーケストラの練習風景や、音楽大学の様子を描いています。
こちらも本当に面白く楽しい作品でした。

中山さんは、お名前から推察して女性かと思っていたのですが、インターネットで調べたところ、1961年生まれの男性だそうです。
音楽に対する素晴らしい鑑賞眼をお持ちのミステリー作家です。
本の経歴のところには、現在、会社員とも書いてあります。
楽しい方ですね。
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by fiorimusicali | 2013-02-19 15:32 | 文学・語学Literature | Comments(0)  

夕暮れ Evening twilight

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書斎から見る、夕暮れ時の風景。

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うちの前の大きな池には、茜色の夕焼けの空が映ってとてもきれいです。

こんな時、大好きな入江美樹さんの、「あなた」という詩が、心に浮かびます。

   


         あなた     入江美樹

  
     あおざめたやみがひろがるとき

     わたしは  心のうちの広場に

     あなたの銅像をたてる

     そうしたら

     わたしは鳩になり

     あなたの肩に一日中とまっていよう

     銀いろのあなたは まるで

     神話のなかの蛇のようにきれい

     鉄の唇は 何も言わなくても

     鉄の眸は わたしを見なくても

     わたしは キスをくりかえそう

     鉄の心には しみこまなくても

     わたしは涙をながしつづける

     そして

     ふかい霧が 広場を つつんでしまうときは

     あなたのひざに あたまをのせ

     やさしい夢を あなたに

     ささげたい


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入江美樹さんは、指揮者の小澤征爾さんの奥様です。

この詩は、お二人がまだ恋人同士だったころに書かれたもの。

「愛のいたみを」という美樹さんの詩集には、美しくてガラスのように繊細な優しい詩がたくさんおさめられています。

名古屋のヤマハに、小澤征爾さんが、いらっしゃって、サイン会をなさった時、この詩集を持って伺いました。

この詩集を手にした小澤さんは、ちょっと驚かれ、そして、うれしそうに、そばにいた外国人スタッフに、

「This is my wife`s first book」

と言ってお見せになりました。

そして、表紙の裏にサインをしてくださいました。

美しい素敵な美樹さんに、こんなにも愛されてご結婚なさった小澤征爾さん…本当にお幸せな方です。

夕暮れ時、この詩を思い出すと、あのときの小澤さんのうれしそうな笑顔も私の心によみがえります。
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by fiorimusicali | 2013-02-14 12:13 | 文学・語学Literature | Comments(4)  

学生時代にやらなくていい20のこと

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またまた、非常に面白い本を読んだので、ご紹介します。
つい最近最年少で直木賞を受賞されて話題になった、朝井リョウさんのエッセイ「学生時代にやらなくてもいい20のこと」です。

これは、受賞作ではなく、私は、まだその受賞作「何者」は、まだ読んでいないのですが、こちらのエッセイは、とにかく楽しくて、ページをめくるごとに爆笑といった感じです。

朝井リョウさんも、この間紹介した、「さよならドビュッシー」の中山七里さんと同じ岐阜県出身。
この頃岐阜ケンミン活躍していますね・・・
岐阜在住20数年の私は、とてもうれしく、このお二人に親しみを感じています。


さてこのエッセイ、朝井リョウさんが、早稲田大学の学生だったときに、経験した、授業、アルバイト、地獄の100キロハイキングと500キロサイクリング、就職活動・・・などなどが綴られています。

新聞で、朝井さんが、
小学生のころから、日記を書いて、先生に赤ペンで、いろいろ書いてもらうのが、楽しみだった…あるとき先生が「日記というよりも、まるで小説を読んでいるみたいです。」と感想を書かれたことがあった。その赤い文字が、頭の先から足の指までに染みわたって行った感覚を今でもはっきりと覚えている。その文字だけをエンジンにして、原稿用紙百枚近くの小説を書いた。ただただ、自分の文章を先生に読んでもらいたかった・・・それが、小説を書くことの原点だった・・・
と書いていらっしゃるのを読みましたが、本当に、当たり前の学生生活の毎日を、こんなにもユーモアを交えて、書けるなんて素敵だなあと感心…感心・・・

お友達とか自分の息子だったら、きっと話して本当に楽しい相手でしょう。

もちろん私の読書は、この本やこの間のミステリーみたいな、話題作ばかりを読んでいるわけでなく、もう少し、まじめな文芸書や音楽書も読んでいますが、こんな楽しい、若者のエッセイも好きです。
楽しい若いお友達ができたみたいな気持ちです。
彼のほかの作品もまた読んでみたいです。

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by fiorimusicali | 2013-01-26 11:39 | 文学・語学Literature | Comments(0)  

さよならドビュッシー Good-bye Debussy

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近日公開されることで、話題になっている、「さよならドビュッシー」の原作 中山七里著を読みました。
映画化される前から、本屋さんで見ては、読んでみようかな…と思っていたのです。

すごく面白かった…こんな面白い小説久しぶりに読みました。
作者の中山七里さんは、1961年岐阜県生まれとあります。
小説の舞台は、名古屋。本山や、荘内川、愛知芸術劇場、厚生年金会館、しらかわホールと私がよく訪れる身近な場所が出てきます。

火災で生き残り、大やけどを負った主人公の少女が、痛みに耐えながら、ピアノを弾くのですが、その音楽の描写がすばらしい。
ショパンの「エチュード」や、ドビュッシーの「月の光」、「アラベスク」など、わたくし自身よく演奏するピアノ曲ですが、音楽を文章にするのは、とても難しいと思うのですが、とても細かく描写されていてひきこまれます。

主人公にピアノを教える先生、岬洋介がとても魅力的で、音楽の先生としても素晴らしいけれど、名探偵でもあるのです。

小説の最後には、大どんでん返しがあって、読むものをあっけにとらせます。
あらすじをここに書いてしまうと、映画を見たり、この本を読む人がつまらなくなると思うので、あえて書きませんが、興味のある方は、ぜひこの原作をお読みくださいね。

もうすぐ公開される映画では、岬洋介の役を、清塚信也さんという魅力的なピアニストが演じているそうですね。
ぜひ映画も見に行ってみたいです。

映画「さよならドビュッシー」の公式サイトは、ここをクリックしてください。
http://good-bye-debussy.com/
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by fiorimusicali | 2013-01-21 14:36 | 文学・語学Literature | Comments(0)  

のちのおもいに After thoughts

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のちのおもいに   立原 道造

夢はいつもかえって行った 山の麓のさびしい村に

水引草に風が立ち

草ひばりのうたいやまない

しずまりかえった午さがりの林道を



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うららかに青い空には陽が照り 火山は眠っていた

…そして私は

見てきたものを 島々を 波を 岬を 日光月光を

だれもきいていないと知りながら 語りつづけた・・・・



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夢は そのさきには もうゆかない

何もかも忘れ果てようとおもい

忘れ尽くしたことさえ 忘れてしまったときには


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夢は真冬の追憶のうちに凍るであろう

そして それは戸をあけて 寂寥のなかに

星屑にてらされた道を過ぎ去るであろう



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by fiorimusicali | 2012-09-26 22:42 | 文学・語学Literature | Comments(0)  

紫陽花 Hydrangea

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紫陽花の季節です。
大好きな西条八十の詩を思い出しています。
高校生の時、教室の後ろの黒板に書いたこともありました。

海と紫陽花    西条八十

夏の日の
海はさびしや、
廃園に
七色変わる
あじさいの
花にも似たり。

君在れば
海は微笑み
群青に
燦きわたれ。

君去れば
夕、砂に
色褪せし
嘆きをうたう。

若き日の
海はさびしや、
廃園の
日毎に変る
あじさいの
花にも似たり。



紫陽花って深窓の麗人というイメージがあるのでしょうか?
むかし、内藤洋子さん主演の「あじさいの歌」というテレビドラマがあったのを思いだします。
雨の日に、窓辺にたたずむ美しい少女の姿に似ているのでしょう。

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夏が過ぎて、枯れてしまったお花もとても風情があります。
私の友達は紫陽花のドライフラワーは一番素敵だと言って、帽子の飾りにしていました。

雨の日、水色の紫陽花の上にかたつむりを見つけて、童心に帰るのもいいものですね。
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by fiorimusicali | 2012-06-21 17:04 | 文学・語学Literature | Comments(0)  

聖パウロ書院 St.Paul book shop

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名古屋市東区のカトリック布池教会の中にある、布池文化センターの音楽教室アカデミア・サンタ・チェチリエでレッスンをしている私ですが、その帰りにいつも立ち寄るのが、セント・パウロ書院です。

ここは、女子パウロ修道会のシスター達が経営するキリスト教文書や、カード、CDなどのショップです。

写真は今年のイースターのころに撮らせてもらったものですが、店内は、こんな感じです。

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きれいなカードがいっぱいです。

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可愛いイースターエッグもありました。

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以前このブログに載せた晴佐久昌英さんの詩集「だいじょうぶだよ」は、ここで見つけました。
晴佐久さんは、カトリックの神父さまなのです。
とても素敵な詩をたくさん書いていらっしゃいます。

その一節をご紹介しましょう・・・

   



   君は弱いときにこそ  晴佐久昌英

君が力を無くし 弱りきってしまったとき

君は奇跡を起こすことができる

君が打ちのめされ 泥水の中に倒れるとき

君の中に大いなる力が働く

君よ 何もするな 何も求めるな

なすすべもなく倒れたまま

すべてゆだねて弱さのうちに沈んでゆけ

泥水の底に青空がひらけ

世界は君の痛みでいやされる

君は弱いときこそ強い 

その手は今 天の国の扉を開けている・・・・
 



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レッスンの帰り、母たちやお友達に渡すカードや、オルガンやグレゴリア聖歌のCDなどを、捜してシスターや、ショップのお姉さんとちょっとお話しするのが、私の楽しみなのです。

セント・パウロ書院は布池教会の向いにあります。

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セント・パウロ書院のホームページはこちらです。

http://shop-pauline.jp/?mode=f5
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by fiorimusicali | 2012-06-06 22:09 | 文学・語学Literature | Comments(0)  

みづいろの風よ  Light blue wind

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        みづいろの風よ     大手拓次


かぜよ、
松林をぬけてくる  五月の風よ、
うすみどりの風よ、
そよかぜよ、そよかぜよ、ねむりの風よ、

わたしの髪を なよなよとする風よ、
わたしの手を わたしの足を
そして夢におぼれるわたしの心を
みづいろの ひかりのなかに 覚まさせる風よ、

かなしみとさびしさを
ひとつひとつ消してゆく風よ、
やはらかい うまれたばかりの銀色の風よ、
かぜよ、かぜよ、

かろくうずまく さやさやとした海辺の風よ、
風はおまえの手のように しろく つめたく
薔薇の花びらのかげのやうに ふくよかに
ゆれてゐる ゆれてゐる、
わたしの あはいまどろみのうへに。
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by fiorimusicali | 2012-05-18 17:32 | 文学・語学Literature | Comments(0)  

だいじょうぶだよ Daijoubudayo

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だいじょうぶだよ     晴佐久昌英

「だいじょうぶだよ」
歩道の隅で ひとつだけ咲いたたんぽぽがそっと言う

「つらい日々をよくのりこえたね」
空を写すビルの鏡で まぶしいお日さまがほめてくれる

「わたしがご一緒しましょう」
耳もとで はるかな 花のかおりをはこぶそよ風がささやきかける

「もう少し先までいってごらん」
路地の日だまりで ねそべるネコがヒゲをゆらしている

「このへんでちょっと休んでいきなよ」
ポストの上でコーヒーの空き缶が招いている

「ここまでくれば安心ね」
ケーキ屋さんの店先で ペコちゃん人形がにっこりする

「いいお天気ですねえ」
バス停で おばあさんがうれしそうに話しかけてくる

「よかった よかった よかった」
新芽の街路樹で すずめたちがさえずっている

やっと 外に出られた
やっと 歩きだせた
もうこんな春は来ないと思っていた

「みんなありがとう もう だいじょうぶだよ」
背中に 大きなあったかな手のひらを感じながら
わたしも そっと言ってみる
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by fiorimusicali | 2012-03-16 13:38 | 文学・語学Literature | Comments(0)