のちのおもいに After thoughts
2012年 09月 26日
のちのおもいに 立原 道造
夢はいつもかえって行った 山の麓のさびしい村に
水引草に風が立ち
草ひばりのうたいやまない
しずまりかえった午さがりの林道を
うららかに青い空には陽が照り 火山は眠っていた
…そして私は
見てきたものを 島々を 波を 岬を 日光月光を
だれもきいていないと知りながら 語りつづけた・・・・
夢は そのさきには もうゆかない
何もかも忘れ果てようとおもい
忘れ尽くしたことさえ 忘れてしまったときには
夢は真冬の追憶のうちに凍るであろう
そして それは戸をあけて 寂寥のなかに
星屑にてらされた道を過ぎ去るであろう
by fiorimusicali | 2012-09-26 22:42 | 文学・語学Literature | Comments(0)